「ピラティスの呼吸法がエクササイズに良いらしいけど、どんな効果があるの?」
胸式呼吸とは、お腹を膨らませず肋骨や肺を広げるように胸郭といわれる胸まわりに空気を取り入れる呼吸法です。
ピラティスの基本的な呼吸法であり、エクササイズの効果を高めるために重要な基礎の1つといえます。
しかし「胸式呼吸」という聞きなれない言葉のせいで難しそうに感じ、なかなか実践できない人も多いのではないでしょうか。
呼吸法が理解できずに挫折してしまうと、ピラティスの効率が落ちてしまうリスクもあります。
本記事では胸式呼吸の詳しいやり方の他、練習する時のコツやメリットなどをまとめました。
胸式呼吸のコツを掴めば、意識せずに呼吸を行えてピラティスの効率も上がるでしょう。
これからピラティスを始めようと思っている人はもちろん、すでに胸式呼吸を実践している人もぜひ目を通してみてください。
ピラティスのやり方についてはこちら
▶ピラティスのやり方は?基本動作や向いてる人・向いていない人も紹介
蓮見 恵莉
(the SILKインストラクター)
【保有資格】
・PSGA JAPANコンプリヘンシブ マスターインストラクター
・IBMA認定ピラティスベーシック
・IBMA認定ヨガベーシック
・コラーゲンスタジオ協会認定 マスターインストラクター
・アスリートフードマイスター初級
・美肌食マイスター初級
【その他】
・グループリフォーマープログラム監修
【プロフィール/経歴】
the SILKの在籍インストラクター。
23歳で出産の後、フィットネスクラブでインストラクターの活動をはじめる。
ヨガ、ピラティス、ストレッチ、セルフマッサージクラスなどの指導をして10年。
現在はフリーのインストラクターとしてスタジオレッスン、パーソナルトレーニングの指導をメインに、PSGA JAPAN等の養成講師も務める。
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ピラティスの呼吸法【胸式呼吸】の方法
胸式呼吸のやり方は、以下の通りです。
- 顎を軽く引いて背筋を伸ばし、両手を軽く肋骨に添える
- 鼻から息を吸うと同時に、肋骨が前後左右へ広がるよう意識する
- 肩を落としながら口から息を吐き、開いた胸周りを中心へ閉じるようにする
- お腹を膨らまさないように注意しながら2~3を数回繰り返す
お腹や胸に意識を集中させつつ力まずに呼吸するのがポイントで、息を吸う時は胸が風船のように膨らむイメージで行いましょう。
息を吐く時は吸う時以上の時間をかけて、口からゆっくりと吐き出します。
最初は難しいかもしれませんが、練習していくうちに自然と上達していくはずなので何度も繰り返し行ってみるのがおすすめです。
胸式呼吸を行うと肋骨の間にある肋間筋という筋肉が収縮し、肋骨周りを綺麗に整える働きをしてくれます。
横隔膜と肋骨は胸式呼吸する時に強く意識するべき器官なので、体のどの辺りにあるのかイメージしておきましょう。
ただし胸式呼吸は交感神経を優位にし、寝る前に行うとなかなか寝付けなくなる可能性があるので注意してください。
両手を肋骨へ添えた時に肩がすくまないように気を付けましょう。
肋骨の前側だけではなく、背中側にも呼吸を送るようにイメージするのがポイントです。
また息を吸う時は腰や背中が反らないように注意してください。
ヨガの腹式呼吸との違いとは
ピラティスの胸式呼吸とヨガの腹式呼吸の違いを、表にまとめました。
項目 | 胸式呼吸 | 腹式呼吸 |
---|---|---|
膨らむ部位 | 胸 | お腹 |
作用 | 交感神経の 活性化 | 副交感神経の 活性化 |
効果 | 体の働きが 活発になる | 緊張をほぐして リラックスできる |
ヨガには様々な呼吸法がありますが、ここでは「ヨガ=腹式呼吸」「ピラティス=胸式呼吸」として解説していきます。
ヨガの呼吸法とピラティスの呼吸法の大きな違いは、「何を鍛えるか」という点です。
ヨガが主に心身の統一を目指して精神面の安定に重点を置くのに対し、ピラティスでは体の深いところにある筋肉(インナーマッスル)を鍛えます。
そのためヨガはリラックス効果のある腹式呼吸を、ピラティスでは運動するのに適した胸式呼吸を採用しているのです。
胸式呼吸によるメリット・効果を紹介
胸式呼吸のメリットや期待できる効果を、以下3つのポイントを中心に解説します。
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メリットを理解すれば自身に向いているのかがわかり、呼吸法を取り入れるべきか判断できるでしょう。
胸式呼吸はピラティスだけでなく日々の生活にも良い影響を与えてくれるので、ぜひチェックしてみてください。
血の巡りが良くなる
胸式呼吸は胸や背中など様々な筋肉を動かす呼吸法なので、血流や代謝の活性化を促します。
血流が良くなると肩こりが改善されたり内臓の働きが高まるなど、健康的な体に近づくことが可能です。
【血行促進で改善が期待できること】
- 手足の冷え
- 肩こりの
- 肌のくすみ
- 便秘
- むくみ
呼吸法を身に着けて血流が良くなれば、体の疲れが溜まりにくくなるので毎日がイキイキとして活動的になれるでしょう。
体幹を鍛えられる
胸式呼吸をすると体幹に含まれる横隔膜や周辺の筋肉が鍛えられ、ピラティスを行うのに適したコンディションにしてくれます。
体幹が良くなると正しい姿勢へと導いてくれるだけでなく、以下のようなメリットも。
- 腰痛の予防になる
- 疲れにくくなる
- 猫背が改善される
- 太りにくくなる
他にも内臓の位置が正しい位置に戻って美しいくびれができやすくなるなど、女性にとって嬉しい効果が多く見込めます。
以上のように体幹の良さは日常生活にも影響を与えるので、健康的な生活を送りたい人はぜひ呼吸法を実践しましょう。
筋肉を効率的に刺激できる
胸式呼吸ではお腹を引き締めた状態をキープできるため、コアマッスルと呼ばれる以下4つの筋肉を効率的に刺激することが可能です。
- 骨盤底筋群
- 多裂筋
- 腹横筋
- 横隔膜
コアマッスルが鍛えられると体幹も同時に鍛えられ、基礎体力や持久力がついて体のパフォーマンスアップにも繋がります。
基礎代謝も増えるので脂肪燃焼しやすくなり、太りにくい体に近づけるのもメリットです。
ピラティスの呼吸法を身につけるためのコツを紹介
ピラティスの胸式呼吸を身につけるためのコツを解説していきます。
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呼吸は目に見えないこともあり習得が難しいですが、コツを理解すればイメージが掴みやすいです。
未経験者はもちろん胸式呼吸がなかなかマスターできない人は、以降の解説によく目を通しておきましょう。
お腹に力を入れる
胸式呼吸はお腹に力を入れて、引き締めた状態で行います。
腹式呼吸とは異なり、息を吸う時も吐く時もお腹が膨らまないよう注意するのがポイントです。
上手くできない場合は手のひらをお腹に置き、膨らまないように意識しながら行ってみましょう。
最初は難しいかもしれませんが、お腹に力を入れることで腹筋を鍛えられるというメリットもあるのでぜひ挑戦してみてください。
肋骨を広げるイメージで息を吸う
息を吸う時は、体の中にある肋骨を広げるイメージで鼻から空気を入れて肺に溜め込みます。
前方向だけ膨らませようとすると胸が張り出して反り腰になってしまうので、前後左右まんべんなく広げるように息を吸いましょう。
上手くいかない場合は胸に手を当てて、肋骨の動きを意識しながら呼吸してみてください。
手を当てながら息を吸うと肋骨が広がっていくのを実感できるので膨らむイメージをしやすくなり、上達も早まるでしょう。
頭が前に下がると猫背気味になるので、遠くを見るようにして頭の位置は変えないように息を吸ってみてください。
口から細く息を吐く
ピラティスの胸式呼吸で息を吐く時は、腹横筋や骨盤底筋を使って口から細く長く息を吐くのがポイントです。
肺に溜め込んだ空気を全て吐き切り、広がった肋骨が元に戻るイメージで行いましょう。
ただし声を出しながら息を吐いたり喉に力を入れるのではなく、お腹の底から吐き切ることを意識してみてください。
力みすぎずに、吸う時以上の時間をかけてゆっくりと息を吐きだして正しく呼吸しましょう。
背筋を伸ばす意識で顎を引き、姿勢を正す
ピラティスは呼吸と姿勢が大切なので、胸式呼吸をする時は背筋を伸ばし、顎を軽く引いた状態で姿勢よく行うように心がけましょう。
猫背や反り腰では肋骨の動きに支障が出て胸式呼吸の効果が半減してしまうので、背筋をまっすぐ伸ばすことも重要なポイント。
自信がない場合は、仰向けの体勢で行うのもおすすめの方法です。
仰向けになれば自然と背筋が伸びて肋骨もズレにくくなり、胸式呼吸に適したコンディションに近づけます。
また、普段から正しい姿勢を保てているか確認するのもおすすめです。
~姿勢セルフチェック~
- 壁に背を向け両足を肩幅ほどに開き立つ
- かかとを壁に付けてまっすぐ立つ
- 後頭部・背中・お尻が壁に付いているか確認
- 背中の後ろに手のひら1枚分の隙間が空いているか確認
まっすぐ立った時に壁に後頭部や背中が付かない場合は、普段の姿勢が悪い可能性があります。
背中の後ろに手のひらを入れるスペースがなかったり、広すぎる場合も同様です。
悪い姿勢が身に付いてしまうと呼吸法のイメージが掴めないので、普段から正しい姿勢を保つよう意識しましょう。
準備運動をする
ピラティスの胸式呼吸をスムーズに行うために、以下2つの準備運動を行いましょう。
- 両手の指を組む
- そのまま胸の高さまで手を持ち上げ、手のひら側を顔に向ける
- 背中を丸めながら組んだ手を前方にもっていく
- 背中を膨らませるように胸を使って呼吸をする
背中のストレッチを行えば、呼吸時に背中が広がるイメージがつかみやすくなります。
立った状態でも座っていてもできるので、自分がやりやすい姿勢でチャレンジしてみてください。
また肩が凝っている時は手を後ろに組んで背中を伸ばすストレッチもおすすめで、肩甲骨が引き寄せあうため肩の緊張がほぐれます。
肋間筋がほぐれると呼吸を深くする以外に姿勢の改善や肩こりの解消にも期待できるため、ピラティス前以外のタイミングにもおすすめのマッサージです。
ピラティスの効果を得やすくするために、背中や肋骨をほぐしてから胸式呼吸を実践してみましょう。
ピラティスの呼吸法に関するよくある質問と回答
最後に、ピラティスの呼吸法に関する以下の疑問にお答えしていきます。
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事前に疑問を解消すれば、安心してピラティスの呼吸法を取り入れられるでしょう。
気になる項目がある場合は、ピラティスを始める前に解消してください。
マシンとマットで呼吸法は変わる?
ピラティスにはマシンとマットの2つのやり方がありますが、呼吸法はどちらも同じで胸式呼吸です。
ただし以下のように呼吸法以外では違う点が多いので、どちらが自分に合っているか確認してみてください。
項目 | マット | マシン |
---|---|---|
使う道具 | ・マット ・バランスボール など | ・リフォーマー ・キャディラック ・バレル ・チェアー など |
鍛えられる 部位 | 体全体 | 体全体 特定の部位 |
自宅での エクササイズ | 可能 | 難しい |
負荷の調整 |
マットピラティスはマットがあれば自宅でもエクササイズ可能で、手軽に実践できるのがメリットです。
しかし負荷が調整できず、正しいフォームにするには筋力も必要なので初心者には難しい一面も。
マシンピラティスを自宅で実践するのは難しいですが、ピラティススタジオを利用すれば専用マシンを使ったエクササイズが可能です。
マットと比べて正しいフォームが身につきやすいため、初心者向きとなり特定の部位のみ鍛えたい時にも向いています。
もちろんピラティススタジオに通いながら自宅でマットピラティスをするなど、両方を組み合わせる方法もおすすめです。
ピラティスで鍛えられる筋肉はどこ?
ピラティスでは主に、以下のコアマッスルを鍛えることが可能です。
- 骨盤底筋群
- 多裂筋
- 腹横筋
- 横隔膜
筋トレとは異なりアウターマッスルには作用しにくいため筋骨隆々になりにくく、美しい体を保ちつつ鍛えられるのがメリット。
体幹や内臓機能の改善なども期待できるので、体の内側から健康になりたい人にもピラティスはおすすめです。
ピラティスの呼吸法をマスターしてさらに運動効率を高めよう!
ピラティスの胸式呼吸は胸を膨らませる呼吸法で、マスターすれば運動効率が高まり健康的な体づくりにも役立ちます。
一見難しそうな胸式呼吸ですが、本記事で解説したやり方や練習方法などを見返しながら実践すれば上達も早まるはずです。
ピラティスにはダイエット効果や新陳代謝の活性化など、美容面でも様々なメリットがあります。
心身ともに健康になりたい人は、正しい呼吸方法を身につけてさっそくピラティスを始めてみましょう。
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