最近「前より疲れやすい」「なかなか痩せにくくなった」と感じることはありませんか?
その原因は、もしかすると「基礎代謝の低下」かもしれません。基礎代謝を上げることは、ダイエットだけでなく、美肌や冷え・むくみの改善にもつながります。
この記事では、基礎代謝を上げるための具体的な方法を7つご紹介します。
食事、運動、生活習慣の3つの視点から、今日から無理なく始められる実践的なアプローチをまとめました。
そもそも基礎代謝とは?
基礎代謝とは、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、体温を維持したりと、生命を保つために常に使われているエネルギーのことを指します。眠っている間でも体は働き続けており、エネルギーを消費しています。
1日に消費するエネルギーのうち、およそ60%をこの基礎代謝が占めています。
残りは、体を動かすことで使われる「活動代謝」(約30%)と、食べたものを消化・吸収する際に発生する「食事誘発性熱産生」(約10%)です。
つまり、基礎代謝を上げることができれば、特別な運動をしなくてもエネルギー消費量が増え、太りにくい体を維持しやすくなります。
ただし、基礎代謝は10代後半をピークに年齢とともに低下していきます。
とくに40代以降は筋肉量の減少が進みやすく、若い頃と同じ生活をしていても脂肪がつきやすくなる傾向があります。
それでも、食事や運動の工夫によって基礎代謝を維持・向上させることは十分に可能です。
年齢を重ねても、体の内側からエネルギーを巡らせ、いきいきとした状態を保つことができます。
【年齢別】平均的な男女の基礎代謝の目安
自分のおおよその基礎代謝量を知っておくことで、年齢による体の変化をより正確に理解できます。年齢や性別によって基礎代謝は大きく異なるため、目安を把握しておくことが大切です。
以下の表は、厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとにまとめた、年齢別・性別ごとの基礎代謝量の目安です。
【年齢別 基礎代謝量の目安(kcal/日)】
| 年齢 | 男性 | 女性 |
| 18〜29歳 | 約1,490 | 約1,130 |
| 30〜49歳 | 約1,570 | 約1,170 |
| 50〜64歳 | 約1,510 | 約1,120 |
| 65〜74歳 | 約1,390 | 約1,090 |
| 75歳以上 | 約1,310 | 約1,020 |
この表からもわかるように、年齢を重ねると基礎代謝は少しずつ下がっていきます。
女性の場合、50代では30代に比べて1日あたりおよそ50kcalほど少なくなります。
50kcalと聞くとわずかに感じますが、1年間では約18,000kcalになります。
これは脂肪に換算するとおよそ2.5kgに相当し、年齢とともに「太りやすくなった」と感じる原因のひとつになります。
ただし、これらの数値はあくまで平均値に過ぎません。基礎代謝は筋肉量や生活習慣によって大きく変化します。筋肉をしっかり維持すれば、年齢を重ねても代謝を高く保ち、エネルギーを効率よく使える体を維持できます。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書 表3基礎代謝量基準値」(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf)
基礎代謝が下がってしまう原因
基礎代謝が下がる原因を知ることで、自分に当てはまるものがないか確認し、効果的な対策を立てることができます。ここでは、基礎代謝が低下してしまう主な3つの原因について解説します。
筋肉量の減少・筋力の低下
基礎代謝が下がる最大の原因は、筋肉量の減少です。
筋肉は体のなかで最も多くエネルギーを消費する組織であり、基礎代謝全体の約2割を占めています。年齢を重ねるにつれて筋肉は自然と減少し、30代以降は意識的に動かさなければ徐々に衰えていくといわれています。
とくに太ももやお尻など下半身の筋肉が衰えると、代謝も大きく落ちます。運動不足や座りっぱなしの生活が続くと、さらに悪循環が進みやすくなります。
日常のなかで体を動かす習慣を持つことが、基礎代謝を保つ一番の近道です。
過度なダイエット
極端な食事制限は、基礎代謝を下げる大きな原因になります。
摂取カロリーを減らしすぎると、体は「飢餓状態」と判断し、省エネモードに切り替わります。その結果、少ないエネルギーで生きようとするため、基礎代謝が低下します。
さらに、たんぱく質が不足すると筋肉まで分解され、代謝が一段と落ちてしまいます。制限をやめて普通の食事に戻すと、消費が減った分だけ太りやすくなり、リバウンドを招くことも少なくありません。
健康的に痩せるには、極端な制限ではなく、バランスの取れた食事と適度な運動を続けることが大切です。
自律神経の乱れ
自律神経の乱れも、基礎代謝を下げる大きな要因です。
自律神経は、心臓や呼吸、体温などを自動でコントロールする神経で「交感神経(活動モード)」と「副交感神経(休息モード)」がバランスを取りながら働いています。
ところが、ストレスや睡眠不足、不規則な生活が続くと、このバランスが崩れやすくなります。その結果、血流や内臓の働きが低下し、体温も下がってしまいます。体温が1℃下がると、基礎代謝は約13%も低下するといわれています。
十分な睡眠をとり、規則正しい生活を心がけること、そしてストレスをため込まないことが、自律神経を安定させるためのポイントになります。
朝日を浴びて体内時計を整えたり、深呼吸でリラックスしたり、湯船にゆっくり浸かって心身を温めたりする習慣を持つことで、基礎代謝を維持しやすくなります。
ダイエット&美容!基礎代謝を上げるメリット
基礎代謝を高めることで得られるメリットは、単にダイエット効果にとどまりません。
体の内側から整えることで、健康面でも美容面でもさまざまな嬉しい変化を感じられるようになります。
ここでは、基礎代謝を上げることで得られる4つの主なメリットを紹介します。
太りにくくなる
基礎代謝を上げる最大のメリットは、何もしなくても「太りにくく、痩せやすい体」になることです。
基礎代謝が高い人は、安静時でも多くのエネルギーを消費します。たとえば、1日の基礎代謝が1,200kcalの人と1,400kcalの人では、1日あたり約200kcalの差が生まれます。
この差を積み重ねることで、長期的には体型にも大きな違いが現れます。
代謝が高いと、食べた物を効率よくエネルギーとして使えるため、脂肪がつきにくくなります。反対に、代謝が低いと同じ量を食べても消費しきれず、脂肪が溜まりやすくなります。
無理な食事制限をしなくても、基礎代謝を上げることで自然と体重をコントロールしやすくなります。太りにくい体質づくりこそ、リバウンドしないダイエットの第一歩です。
美肌になりやすくなる
基礎代謝が上がると、血行がよくなり、肌の細胞まで酸素や栄養がしっかり届くようになります。その結果、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が整い、くすみやごわつきのない透明感のある肌を保ちやすくなります。
また、代謝が高まることで古い角質が自然に剥がれ落ち、新しい細胞がスムーズに育ちます。これにより肌本来の潤いを生み出す力も高まり、乾燥しにくい健やかな肌へと導かれます。
体の内側から代謝を整えることが、外からのケアよりも確実な美肌づくりにつながります。
冷え性を改善できる
冷え性の原因のひとつは、基礎代謝の低下です。代謝が下がると体が生み出す熱が減り、血流も悪くなって手足の先まで温かい血液が届きにくくなります。
基礎代謝を上げると、筋肉量が増えて体のなかで熱を作る力が高まり、血行も促進されます。その結果、体の芯から温まり、冷えの改善につながります。
体温が1℃上がると基礎代謝が約13%増えるといわれています。
体を内側から温める力を育てることが、冷え性を改善するための最も確実な方法といえます。
生活習慣病を予防できる
基礎代謝を上げることは、肥満を防ぎ、生活習慣病の予防にもつながります。
高血圧や糖尿病、脂質異常症などは、肥満や内臓脂肪の蓄積が主な原因です。基礎代謝が高いと摂取したエネルギーを効率よく使えるため、脂肪がたまりにくくなります。
また、筋肉量が増えると糖の利用が進み、血糖値の上昇を抑える効果もあります。代謝を保ち体温を適切に維持できれば、免疫機能も整い、病気にかかりにくい体をつくることができます。
食事や運動、睡眠などの基本的な生活習慣を整えることが、基礎代謝を上げながら将来の健康を守るための最も確実な方法になります。
基礎代謝を上げるには?日常でできる対策7選
ここからは、基礎代謝を上げるための具体的な方法を7つ紹介します。食事、運動、生活習慣のそれぞれの観点から、今日からすぐに実践できる対策をお伝えします。
水分をしっかり摂る
水分補給は、基礎代謝を上げるうえで欠かせません。
体の約60%は水分でできており、血液として酸素や栄養を運ぶ役割を担っています。水分が不足すると血流が悪くなり、代謝も低下します。
こまめに水を飲むことで血液がサラサラになり、細胞が活発に働くようになります。朝はとくに、寝ている間に失った水分を補うために「白湯(50〜60℃程度)」を1杯飲むのがおすすめです。
1日に必要な水分量の目安は約1.2Lです。コップ1杯ずつを数回に分けて飲みましょう。カフェインや糖分の多い飲み物ではなく、水・白湯・麦茶などを選ぶと効果的です。
代謝によい食べ物・飲み物を摂る
基礎代謝を上げるためには、どのような食べ物を摂るかも重要です。ここでは、目的別に基礎代謝を上げる効果が期待できる食材を紹介します。
身体を温めてくれる食材
体を内側から温める食材を取り入れることで、血行がよくなり、基礎代謝の向上につながります。
おすすめの食材は「生姜」です。加熱や乾燥によって生まれるショウガオールという成分が血流を促進し、体をしっかり温めてくれます。生姜紅茶にしたり、料理の薬味として加えたりすると、無理なく取り入れられます。
「唐辛子」に含まれるカプサイシンも、体温を上げ脂肪を燃やす働きがあります。ただし、摂りすぎは胃腸に負担をかけるため、注意が必要です。
さらに、ネギ・ニンニク・ニラなどの硫化アリルや、かぼちゃ・アーモンドなどに含まれるビタミンEも血行促進に役立ちます。
糖質・脂質の代謝を促す食材
糖質や脂質を効率よくエネルギーに変えるには、ビタミンB群が欠かせません。
「ビタミンB1」は糖質の代謝を助け、疲れにくい体づくりに役立ちます。豚肉、うなぎ、大豆、玄米などに多く含まれます。
「ビタミンB2」は脂質の代謝を促し、余分な脂肪の蓄積を防ぎます。鮭、卵、納豆、牛乳、レバーなどがおすすめです。
また、海藻や魚介に多い「ヨウ素」は、代謝をコントロールする甲状腺ホルモンの材料になります。わかめや昆布、サバや牡蠣などを日常の食事に取り入れるとよいでしょう。
筋肉のもとになる食材
筋肉を増やすには、材料となるたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。たんぱく質は筋肉の主成分で、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などに多く含まれます。
とくに筋肉づくりを助けるアミノ酸には、リジン(魚や肉に多い)、アルギニン(鶏肉・大豆など)、アラニン(魚介類)、プロリン(豚肉・チーズなど)があります。
これらをバランスよく食事に取り入れることで、筋肉量の維持と代謝アップが期待できます。運動後30分以内にたんぱく質を摂ると、筋肉の合成をより効率よく促せます。
バランスの取れた食事を心がける
基礎代謝を上げるには、特定の食材だけに頼らず、三大栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
炭水化物は体の主要なエネルギー源。極端に減らすと筋肉が分解され、代謝が下がります。たんぱく質は筋肉や皮膚、髪などの材料で、代謝維持に欠かせません。脂質もホルモンや細胞膜を作る重要な栄養素で、青魚やオリーブオイルなどの良質な脂を選ぶとよいでしょう。
理想的なバランスは、炭水化物50〜65%、たんぱく質13〜20%、脂質20〜30%が目安です。これに加えて、ビタミン・ミネラル・食物繊維も意識しましょう。
更年期世代の女性は、カルシウム・鉄・ビタミンA・Dが不足しがちです。魚、乳製品、緑黄色野菜、赤身の肉などを組み合わせるとよいでしょう。
基本は「一汁三菜」です。主食・主菜・副菜・汁物をそろえると自然に栄養が整います。朝食を抜かず、1日3食を規則正しくとることも、代謝のリズムを整えるポイントです。
腸内環境を整える
腸内環境を整えることは、基礎代謝を上げるうえで欠かせません。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、栄養の吸収だけでなく、自律神経やホルモンの働きにも関わっています。
腸が元気に動いていると、栄養がしっかり吸収され、代謝が活発になります。逆に腸内環境が乱れると、栄養が吸収されにくくなり、代謝も下がってしまいます。
腸内環境を整えるポイントは「善玉菌を増やすこと」です。ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品(プロバイオティクス)を毎日取り入れましょう。あわせて、善玉菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖(プレバイオティクス)を摂るとより効果的です。
たとえば、ヨーグルトにバナナを加える組み合わせがおすすめです。野菜や海藻、豆類、きのこ類も意識して摂り、水分をしっかり補うことで腸の働きが整います。
適度に運動する
基礎代謝を上げるには、筋肉を動かす運動が最も効果的です。筋肉量が増えるほどエネルギー消費が高まり、太りにくい体になります。
運動には、筋トレ・有酸素運動・ストレッチの3つがあります。なかでも基礎代謝を上げるのに有効なのが、筋トレと有酸素運動を組み合わせる方法です。
【代表的な筋トレ】
- スクワット
- プランク
- プッシュアップ
【代表的な有酸素運動】
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- 水泳
- ピラティス
the SILKと株式会社NEXERが行った調査によると、ピラティス経験者や、ピラティスに興味がある女性のうち32.3%が、ピラティスに「ダイエット・ボディメイク」を期待したいと回答しました。
この結果から、約3人に1人の割合で、ピラティスを含む有酸素運動が太りにくい体作りに効果的だと期待しているということがわかります。
調査データ引用元:記事公開後、該当URLをご記載ください。
ストレッチ
激しい運動が苦手な人は、まずストレッチから始めてみましょう。
筋肉をゆっくり伸ばすことで血流が促進され、体温が上がり、結果として基礎代謝を高めることができます。
深呼吸をしながら行うと、自律神経が整い、心身をリラックスさせる効果も得られます。
とくに朝のストレッチは、体を目覚めさせて1日の代謝を上げるのに役立ちます。
ベッドの上で全身を伸ばしたり、肩を軽く回したりするだけでも十分な効果があります。
デスクワークの合間にも体を動かす時間を意識的にとり、血流を促す習慣をつけていきましょう。
筋トレ
基礎代謝を高めるためには、筋肉量を増やす筋トレを取り入れることが最も効果的です。
筋肉は基礎代謝全体の約20%を担っており、とくに太ももやお尻などの下半身の大きな筋肉を鍛えることで、効率よく代謝を高められます。
おすすめのトレーニングは、スクワット、ヒップリフト、プランクなどの自宅でできるメニューです。正しいフォームを意識しながら、2〜3日に1回のペースで継続すると、無理なく効果を実感できます。
姿勢を整えながら体幹を鍛えたい人には、マシンピラティスも適しています。
深層筋を無理なく鍛えることで、基礎代謝の向上はもちろん、冷えの改善や姿勢の安定にもつながります。
ウォーキングなどの有酸素運動
筋トレと組み合わせて行うことで、より高い効果を得られるのが有酸素運動です。
ウォーキングやジョギング、水泳などの運動は、脂肪を燃焼させながら体温を上げ、基礎代謝を高める働きを持っています。
なかでもウォーキングは、道具を使わずに始められる手軽な運動です。背筋を伸ばし、大股で腕をしっかり振りながら「やや息が弾む程度」の速さで歩くことを意識しましょう。1回20〜30分、週3回を目安に続けると、代謝アップに効果を感じやすくなります。
通勤で一駅分を歩いたり、エスカレーターではなく階段を使ったりするだけでも、日常のなかで運動量を増やせます。無理のない範囲で体を動かす習慣をつけることで、基礎代謝を自然に高めることができます。
こちらの記事では、有酸素運動でのダイエットについて解説しています。効果的な頻度や運動方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
湯船に浸かって身体を芯から温める
基礎代謝を上げたいなら、シャワーより湯船に浸かる習慣をつけましょう。体を温めることで血流がよくなり、代謝が活発になります。体温が1℃上がると、基礎代謝は約13%も増えるといわれています。
お湯の温度は38〜40℃程度のぬるめが理想的です。肩が出るくらいの半身浴で15〜20分、ゆっくり浸かりましょう。入浴前後にコップ1杯の水を飲むことで、血流促進と脱水予防にもなります。
湯船に浸かると副交感神経が優位になり、リラックス効果や睡眠の質の向上にもつながります。毎日の入浴が、心身を整え代謝を高めるシンプルな習慣になります。
良質な睡眠をとる
睡眠は、基礎代謝を支える大切な時間です。睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は、筋肉の修復や脂肪の分解を促します。十分に眠れないとホルモンバランスが乱れ、代謝が低下して太りやすくなります。
理想の睡眠時間は7〜8時間です。就寝・起床のリズムを一定にし、寝る2〜3時間前には食事を済ませましょう。入浴で体を温め、寝る前のスマホ使用を控えると自然な眠気が訪れます。
質のよい眠りがとれると、成長ホルモンの働きで筋肉が育ち、脂肪が燃えやすい体になります。しっかり休むことも、代謝アップの立派な「習慣」です。
まとめ
基礎代謝を高めることは、無理なダイエットをせずに太りにくい体をつくる最も効果的な方法です。
「水分を摂る」「代謝を助ける食事を意識する」「腸を整える」「適度に動く」「湯船で温まる」「よく眠る」どれも日常のなかで少し意識するだけで始められます。完璧を目指す必要はありません。できることからひとつずつ続けることが、代謝アップへの近道です。
なかでも、筋肉を増やして体幹を鍛えることは最も重要です。しなやかで疲れにくい体を目指すなら、継続できる運動習慣を持つことが大切です。
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